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現代社会を生きる私たちは、いつも何かしらの「不安」を抱えて暮らしています。不安の正体が漠然としていたら解決はとても難しいですが、中にはお金の準備が整っていることで解消する不安もあります。その対策に使われる手段のひとつが「保険」。

「保険」ならどんなものでもいいわけでは、もちろんありません。自分の不安にピッ タリ合った保
険に入らないと、単なるムダ遣いになってしまいます。保険を選ぶ前に、不安の内容を具体的にしておく必要があるでしょう。

そして保険の内容をよく確認し、どんな場合に保険金が出るのかを知っておくことが大切。そうしないと、もらえると思っていたのに出なかったり、逆にもらえることを知らずに保険金を請求しない、といった残念なことになってしまいます。


「自分の不安にピッタリ」と思っても、加入額が適切かどうかによりやはりムダが生じます。入れば入るほど安心なのではありません。保険でお金が貯められると思っている人が時々いますが、正しくは、保険は加入者同士の「助け合い」の仕組み。不安が現実になった時に保険金で助けてもらう人がいる一方、大多数は無事に過ごしながら保険料を払い続けることになります。賢い加入で保険料支出をなるべく節約し、もっと有効にお金を使ったり資産運用に回したりを考えるべきでしょう。

いま旬な不安といえば「医療」だと思いますが、医療費の備えに「入院保険」ばかり入っていると家計運営の失敗のモト。なぜなら、入院で家計が破綻するリスクは極めて小さいからです。健康保険がかなりカバーしてくれるのをご存じでしょうか?

健康保険には「高額療養費」という制度があり、月(月初〜月末)の医療費の自己負担には上限が設けてあります。たとえば、入院・手術で月の医療費が100万円かかったとしても、自己負担割合3割の30万円を支払うのではありません。実質的な自己負担額である「高額療養費算定基準額」(図)を計算すると、一般世帯のケースでは8万7430円となるのです。長期入院などで長く医療費がかかる心配もありますが、4か月目以降は上限額が4万4400円に下がることも知っておきましょう。



これらは法律で定められている「法定給付」でカバーされる金額。もし、加入している健康保険制度に「付加給付」があれば、さらに自己負担額が下がります。たとえば、「自己負担額から2万円を控除した額を付加給付」という健保組合に入っている場合、月の自己負担額はほぼ2万円なのです。たとえ医療費が100万円よりもっとかかったとしても、2万円を超えた分はカバーしてもらえるわけです。

というわけで、付加給付があればもちろん、法定給付だけでも医療費負担はかなりの金額が健康保険でカバーされ、入院で家計がパンクし財産も失うなんてことはあり得ないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。


高額療養費制度の注意点を挙げると、健保対象外の治療を受けた場合の費用、差額ベッド代、入院時の食事代はカバーされません。とはいえ、入院時の食事代は1食あたり260円と安いし、望まない健保対象外の治療を勝手に施され、高額の医療費請求をされることはないと言っていいでしょう。差額ベッド代も、治療の必要上個室に入ることになったり、患者の同意が得られていなかったりする場合は、請求できないことに定められています。気が動転しているときはうっかり同意してしまいがちですが、安易に同意書にサ
インしないことで、多額の差額ベッド代がかかることは防げるでしょう。

それから、2ヶ月にまたがって入院した場合、高額療養費算定基準額はそれぞれの月で計算されます。現実にはそういうケースも多いでしょうから、先ほどの計算より自己負担額の合計がアップすることが考えられます。

高額療養費制度を利用するためには、医療機関窓口に保険証といっしょに「限度額適用認定証」の提出が必要です。入院することになったら、加入している健康保険制度に「限度額適用認定証」の交付を申請しましょう。

さて、入院でビックリするようなお金がかからないのであれば、すでに貯まっている資産で十分まかなえると感じた方もおられるのでは?そういう方は入院保険を増やす必要はありません。何も入っていないというのであれば、入院給付金日額5000円程度の保障を備え、あとは着実に資産作りを行っていくことをお勧めします。

第1回「会社員とフリーランスの損得勘定は?



日本FP協会会員 CFP、1級FP技能士

1959年兵庫県生まれ。1982年同志社大学卒業後、日興證券に入社、証券営業に携わる。1988年独立系FP会社 (株)エムエムアイに入社、ファイナンシャル・プランナーとなる。1993年フリーでの活動をスタート。生活者対象のファイナンシャル・プランニングを担当するほか、執筆、講演活動もこなす。
現在、FPサービス会社(有)生活設計塾クルー取締役。
個人事務所リアサイト代表。
著書に、『知ってトクする生命保険と個人年金の上手な掛け方選び方』(日本実業出版社)、『掛けムダのない生命保険と年金の入り方・見直し方』(共著)(日本実業出版社)等、多数。

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