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編集長のジャストフィーリング 〜後出しジャンケンに負ける〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

昨日の14時に任天堂(7974)が3月決算の業績予想の修正と配当の増配を発表した。

同社は、配当に関する指針として「配当金については、連結営業利益の33%を配当金総額の基準とし同期期末時点で保有する自己株式数を差し引いた発行済株式数で除した金額の10円未満を切り上げた金額か、もしくは連結配当性向50%を基準として10円未満を切り上げた金額の、どちらか比較して大きい方を、1株当たり年間配当金として決定する」ことを公表している。また、上限の設定はしないが、1株当たり年間配当金の下限は140円と定めている。

今回の業績予想修正は外貨建て資産で約350億円の為替差益を計上したことが大きな要因であったようだ。従って、配当の指針があるので業績が変動すれば当然のことながら配当の額も変化するわけだ。

しかしながら、この期に及んで「期末の配当が昨年実績の200円から今年は300円になります」と言われても個人投資家としては困ってしまう。

配当を得るには遅くとも3月27日までに株式を買っておかねば配当を受け取る権利がない。

昨日、当社のスタッフのブログ(http://ameblo.jp/yujiyagi/)で発表をうけて株価が急騰したと書かれていたが、冷静に判断すれば任天堂株を保有していない投資家にとってはあまりメリットにない話題であった。そのせいか、本日は前日比180円安で引けている。

このように権利付き最終売買日を過ぎてから発表される「増減配」については違和感を覚えざるをえない。

会社の実情に詳しくない個人投資家にしてみればだまし討ちにあったような気分になるのではないだろうか。

例え、配当政策を明確に打ち出している企業といえども、個人投資家は決算短信に記載のある配当額がでると信じ込んでいる人が多いはずである。

ましてや為替の動向まで考慮して、配当額が変わるなど知る由も無いはずだ。

例年、決算日を過ぎた後に増配を発表する企業があるが、株主総会対策と考えられるような行動と受け止められても仕方あるまい。

特に任天堂のように外国人投資家の持分比率が40%を越すような企業は議決権行使書を集めるための方法としてわざと発表の時期を遅らせているケースもあるはずだ。

理由の如何を問わずに、できることであるならば権利付き売買最終日までに業績予想の修正や増減配に関する発表は行っていただきたいものである。

個人投資家にしてみれば、上場企業と特定の大株主や機関投資家・外国人投資家の間での決め事を後から知らされた気分になってしまう。

まさしく後出しジャンケンで勝負に負けたように感じるのではないだろうか。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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