| 最近は主婦や学生の小遣い稼ぎとしてアフィリエイト広告で儲けることがひそかにブームになっているそうだ。 ではアフィリエイト広告とはなんだろうか? ブログや自作のサイトにベタベタとバナー広告が貼ってあるのを見かけることがある。そのバナー広告を誰かがクリックして商品購入や会員登録、資料請求などのアクションを取ると広告主が対価を支払ってくれるという仕組みが典型的なアフィリエイト・プログラムである。そして、バナー広告などを掲載するサイトを運営するのがアフィリエイターというわけだ。 今日は、広告主とアフィリエイターを仲介する仕組みを提供するファンコミュニケーションズの柳澤社長にお話をお伺いした。 柳澤社長は1990年代の後半から米国のネットビジネスに深い感心を持ち、まだ日本にネット証券なるものが登場する前に、米国のネット証券に口座を開き米国株式のトレーディングをやっていたというほどの米国ネットビジネス通の人物である。筆者が驚いたことは、日本ではまだネット証券がほとんど存在しない1998年に「すぐにできるインターネット投資術」と題する書物を書いていることである。 当時の米国はネットバブルでネットビジネス花盛りの時代であった。その時期に、柳澤社長はいくつかのネットビジネスを検証し、アフィリエイト・プログラムを提供する事業プランを選択し1999年10月に当社を起業した。 ところが創業の翌年の春には日本でもネットバブルは崩壊し、ネット広告の価値に疑問をもたれるようになった。ページビュー、クリック保証などのネット広告が否定される中において、アフィリエイト広告なるもを市場に浸透させるには相当の苦労があった。 そこで「アフィリエイトマーケティング」というタイトルの本を出版し、市場啓蒙を行いながらプッシュ型営業で広告の出稿主の開拓を行った。 株式市場の回復と時を同じくして、ネット広告も2003年から上向き同年12月期に売上10億円、経常利益2474万円の黒字化を達成した。そして今12月期は売上43億円、経常利益6億4千万円を見込んでいる。 さて、順番は逆になったが、当社のビジネスモデルについて説明して行こう。 当社のビジネスに登場するのは、 (1)広告主  (2)当社  (3)アフィリエイター(ホームページ運営者)  (4)ネットユーザー の4者である。 冒頭にも説明したように、(4)ネットユーザーが(3)に掲載される@の広告に対して何らかのアクション(購買、登録、請求等)を行った場合に、成果報酬として(1)が(2)を通して(3)に対して金銭を支払う仕組みを構築しているのが当社のアフィリエイト・プログラムである。 当社は(1)より実際に上がった成果に基づく成果報酬額とその3割のコミッションを支払ってもらい、その成果報酬額を(3)に提供する。(1)が支払った成果報酬及びコミッション、ならびに基本使用料が当社の売上として計上され、その約6割に当たる実際の成果報酬額を(3)に提供し、残りの額が当社の粗利として残る。そこから販売管理費を差し引くと営業利益となる。前々期から徐々に販売管理費率は低下しており、スケールメリットによるレバレッジが効いてきたようだ。 次にアフィリエイト広告の成長性について見ていこう。 当社の広告主は二つの種類に分けられている。 ひとつはイーコマース事業者で、自社サイトにおいて商品やサービスを販売している。もうひとつは、当社では「リード」と呼んでいる見込み客を作ることを目的とする広告主で、クレジットカード、カードローン、保険等の資料請求や口座開設等が挙げられる。 現在、広告主はEC事業者とリードで半々の構成となっている。 日本におけるB2CのEC市場は年間25〜30%程度の成長が見込まれており、当社のEC部門の売上はそれに連動すると見られている。 一方のリードであるが、日本の広告市場の中におけるセールスプロモーション分野は2兆円と言われている。2005年のアフィリエイト広告市場が200億円と推測されており、ここから年率50%で成長しても5年後に市場の1割にも満たない。 この二つの分野の成長からすると、現在の事業だけでも年率30〜50%の成長は十分見込めるはずであろう。 今後の事業展開について柳澤社長に聞いてみた。 当社の会社目標は「ニッポンのマーケティング習慣を変革する、オンリーワンのネットマーケティング会社を目指す」となっている。 今日まで日本のマーケティング手法はマスマーケティング中心であったが、21世紀に入ってマスメディアと個人が接触する時間がだんだん短くなってきている。インターネットが普及して、いままで見つけられなかった情報やサービス、物を各個人が見つけられる時代になってきた。それは多種多様な「個人の時代」を作り出すと柳澤社長は言う。 このような時代に、消費者とダイレクトに対峙できる「アフィリエイトマーケティング」のノウハウをコアに、企業と消費者の双方がWin-Winで結ばれる新しい手法を生み出していきたいそうだ。 具体的には、一度獲得した顧客の購買単価を高めたり、リピート率を高めるようなマーケティングの新しい価値創造を目指すそうだ。 最後にアフィリエイターの稼ぎ頭だと月額いくらくらい稼いでいるのかを聞いてみた。 当社のプログラムだけで「数百万円」という答えがあった。他社のプログラムも含めると月額1,000万円くらいは稼いでいるアフィリエイターが二桁くらいいてもおかしくないそうだ。 筆者も5月からブログを始めたが、稼ぐアフィリエイターはサイトのコンテンツが優れていなければならないそうだ。我こそは!と思われる方々は、是非、アフィリエイト・プログラムでひと稼ぎしてみてはどうだろうか。 ファンコミュニケーションズホームページ http://www.fancs.com/  東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com
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