Vol.54「関心高まる自動運転関連のZMP社上場」
今年も残すところ2か月余り。深まりゆく秋の中で株式相場も赤く色づく銘柄が増えているようです。前号で取り上げたJR九州(9142)は日経平均が1万7300円台まで上昇する好環境の下、公開価格2600円に対して初値は3100円で19%余りの上昇となりました。公開価格で買われた多くの投資家はちょっとしたパフォーマンスが得られたのではないかと思います。上場後は遅ればせの売り物に押されるなど頭重い展開ながら、まずは順調な滑り出しとなりました。
JR九州は鉄道や不動産など旧来のビジネスですので、ある程度先行きは見えますがその分PERなど市場での評価は低い状況となってしまいます。一方においてまだ産業として成立すらしていない全く新たな分野でIPOする企業への評価は高く、投資家の期待の高まりからPERは市場平均を大きく上回ることになります。時にPERという尺度は異常値を示し、創薬ベンチャーのように研究開発費で利益が大幅な赤字かさほど利益が上がっていない状況でも時価総額が1,000億円以上となったりします。希少価値企業、とりわけ産業発展の入口に立つチャレンジングな企業としてIPOを果たした企業への評価は高く、それをメディアによって取り上げられる頻度が高まることもあって一般的な評価を逸脱することもあります。例えば、ロボットスーツ「HAL」の開発企業であるCYBERDYNE(7779・マザーズ)はその典型例で先行費用から赤字が続く一方で同社への期待は高く、時価総額は一時5,000億円以上に達しました。また、同様にミドリムシで有名なユーグレナ(2931・東証1部)も機能性食品からバイオエネルギーへの応用という期待の高まりから上場後に時価総額は2,000億円を超える水準で評価されました。それぞれに現状は時価総額が1,000億円台に落ちてきましたが、依然としてプレミアムがついている状況にあります。
さて、そうした企業と同様に2年ほど前から上場の可能性がメディアなどで指摘されてきた車の自動運転に関連したZMP社の上場が再び市場で話題になってきました。昨年末に上場するという話もあったのですが、いまだに具体化しないで1年という時間が過ぎて来ました。AIやIoTも株式市場では大きなテーマとして注目されていますが、その具体的な担い手となる企業が続々と株式市場に現れて次代を担う成長を遂げるというのがIPO市場にとっては喜ばしいことになります。筆者はかつてZMP社がまだベンチャーとして資金集めに奔走していた時期に社長と面談させて頂き、まだまだ普及には時間がかかるとの思いを描いた記憶があります。その時は学校の実験室のロボットキットであったり音楽ロボットであったりと、自動車運転を自動化するシステム及び機器という段階には至っていませんでした。それから10年以上の歳月が流れ開発が進み今や自動運転のフロントランナーとしてソニーやDeNAなどの大手企業とビジネスを展開する時代が到来。IPOが噂されるたびに同社の株式を保有する企業が話題になったり、提携したIT系企業の株価が連想ゲームのように上がったりしています。その上場の真偽はまだ定かではないものの、時代のテーマに沿った企業のIPOが求められていますので、今後も歓迎ムードの高まりが想定されます。
*11月1日(火)に開催されるイブニングセミナーでは私がお話させて頂くことになりました。本コラムも回を重ねること50回を超え、100回、200回に向け発行を重ねて参る所存です。コラムから得られる投資アイデアなどを限られた時間ではありますが、お話させて頂きたいと思います。お時間がおありの皆様にはぜひ足をお運び頂ければ幸いです。
JR九州は鉄道や不動産など旧来のビジネスですので、ある程度先行きは見えますがその分PERなど市場での評価は低い状況となってしまいます。一方においてまだ産業として成立すらしていない全く新たな分野でIPOする企業への評価は高く、投資家の期待の高まりからPERは市場平均を大きく上回ることになります。時にPERという尺度は異常値を示し、創薬ベンチャーのように研究開発費で利益が大幅な赤字かさほど利益が上がっていない状況でも時価総額が1,000億円以上となったりします。希少価値企業、とりわけ産業発展の入口に立つチャレンジングな企業としてIPOを果たした企業への評価は高く、それをメディアによって取り上げられる頻度が高まることもあって一般的な評価を逸脱することもあります。例えば、ロボットスーツ「HAL」の開発企業であるCYBERDYNE(7779・マザーズ)はその典型例で先行費用から赤字が続く一方で同社への期待は高く、時価総額は一時5,000億円以上に達しました。また、同様にミドリムシで有名なユーグレナ(2931・東証1部)も機能性食品からバイオエネルギーへの応用という期待の高まりから上場後に時価総額は2,000億円を超える水準で評価されました。それぞれに現状は時価総額が1,000億円台に落ちてきましたが、依然としてプレミアムがついている状況にあります。
さて、そうした企業と同様に2年ほど前から上場の可能性がメディアなどで指摘されてきた車の自動運転に関連したZMP社の上場が再び市場で話題になってきました。昨年末に上場するという話もあったのですが、いまだに具体化しないで1年という時間が過ぎて来ました。AIやIoTも株式市場では大きなテーマとして注目されていますが、その具体的な担い手となる企業が続々と株式市場に現れて次代を担う成長を遂げるというのがIPO市場にとっては喜ばしいことになります。筆者はかつてZMP社がまだベンチャーとして資金集めに奔走していた時期に社長と面談させて頂き、まだまだ普及には時間がかかるとの思いを描いた記憶があります。その時は学校の実験室のロボットキットであったり音楽ロボットであったりと、自動車運転を自動化するシステム及び機器という段階には至っていませんでした。それから10年以上の歳月が流れ開発が進み今や自動運転のフロントランナーとしてソニーやDeNAなどの大手企業とビジネスを展開する時代が到来。IPOが噂されるたびに同社の株式を保有する企業が話題になったり、提携したIT系企業の株価が連想ゲームのように上がったりしています。その上場の真偽はまだ定かではないものの、時代のテーマに沿った企業のIPOが求められていますので、今後も歓迎ムードの高まりが想定されます。
*11月1日(火)に開催されるイブニングセミナーでは私がお話させて頂くことになりました。本コラムも回を重ねること50回を超え、100回、200回に向け発行を重ねて参る所存です。コラムから得られる投資アイデアなどを限られた時間ではありますが、お話させて頂きたいと思います。お時間がおありの皆様にはぜひ足をお運び頂ければ幸いです。
2016年10月27日 東京IPOコラムニスト 松尾範久