Vol.59「話題のZMPは本当に投資価値があるのか」
2016年も残すところ1か月余り。どこからとなくクリスマスソングも流れ始め、多少気ぜわしい雰囲気になってきました。IPO市場も既に12月27日のティビィシィスキヤツト(3974・JQ)の上場まで12月分15社のIPOが決まり、11月29日の3社を含め18社が12月27日までに登場することになります。その中で今最も話題になっているのが様々なメディアでも紹介されているZMP(7316)です。
同社の投資価値を考えるのにまだ十分な企業情報がない中ではありますが、同社は2足歩行ロボットや教育用教材キットを手掛けて以来、JVCケンウッド、ソニー、DeNAなど様々な有力企業と提携を重ねながら車やドローン、運搬用カートといった機器の自動運転に関わる技術開発に努め、現状においては自律移動ロボットテクノロジー事業を展開する企業という立ち位置でIPOをすることになりました。自動車の進化形である無人カー、自動運転車はまったく新しい社会インフラとなってくるものと予想されます。同社はそうした自動運転に不可欠なセンサー技術、画像認識技術、システム技術を蓄積してきた企業であり、ロボットタクシーの研究やドローンによる医薬品の自動運搬など応用アイデアを具現化する最先端企業と言えます。ただ、実際には収益が黒字化している訳ではなく、1台2000万円程度の開発キットの販売を中心に現状は年商10億円程度の赤字企業に過ぎません。この点は2014年3月にIPOしたCYBERDYNE(7779・上場時年商4.6億円、経常赤字6.8億円)の時と同じで、その後CYBERDYNEの株価は大幅な株式分割実施で時価総額を5000億円以上まで高めたという経緯がありますので同社もそうした可能性を秘めていると考えられます。公開価格は12月9日に決定され、12月19日に上場を予定。公募350.5万株、売り出し株660.7万株、オーバーアロットメント151.6万株、合わせて1162.8万株が放出されます。この結果、上場時の発行済み株式数は4229.7万株となり潜在株459万株も含めれば公開価格次第ではありますが、上場後の上値はやや重くなることも予想されます。これは上場前から同社が注目され、インテルやコマツ、JVCビクターといったスポンサー企業に恵まれていたためと推察されます。株主にはFVCやジャフコといったVCのファンド名も数多く出ており、期待先行でIPOした後の株価にはファンドの売却による値下がりリスクも考えられます。一方において提携戦略の効果や時流性から業績の急向上の可能性もあり、新旧投資家間で強弱感が対立する場面も想定されます。
筆者は創業時において同社に取材を行ったこともあり、その当時のベンチャー的要素の強い同社を知るだけに時代の変化を感じてしまいます。玩具品としてのロボットを手掛ける企業が近未来の自動運転車の開発をサポートするR&D型最先端企業に脱皮するところまで来たとの印象です。上場後の時価総額がどのあたりまで高まるかは投資家の評価次第。国家的見地でも少子高齢化の中で、同社の事業活動は関心を呼ぶと期待されます。ZMPの社名はゼロモーメントポイント(zero moment point)の略で2足歩行ロボットが歩くのに最も重要なポイントのことを指しているそうです。上場まであと1月足らず。様々なメディアから流れてくる同社に関する情報にしっかりと耳を傾けて頂きたいと思います。
同社の投資価値を考えるのにまだ十分な企業情報がない中ではありますが、同社は2足歩行ロボットや教育用教材キットを手掛けて以来、JVCケンウッド、ソニー、DeNAなど様々な有力企業と提携を重ねながら車やドローン、運搬用カートといった機器の自動運転に関わる技術開発に努め、現状においては自律移動ロボットテクノロジー事業を展開する企業という立ち位置でIPOをすることになりました。自動車の進化形である無人カー、自動運転車はまったく新しい社会インフラとなってくるものと予想されます。同社はそうした自動運転に不可欠なセンサー技術、画像認識技術、システム技術を蓄積してきた企業であり、ロボットタクシーの研究やドローンによる医薬品の自動運搬など応用アイデアを具現化する最先端企業と言えます。ただ、実際には収益が黒字化している訳ではなく、1台2000万円程度の開発キットの販売を中心に現状は年商10億円程度の赤字企業に過ぎません。この点は2014年3月にIPOしたCYBERDYNE(7779・上場時年商4.6億円、経常赤字6.8億円)の時と同じで、その後CYBERDYNEの株価は大幅な株式分割実施で時価総額を5000億円以上まで高めたという経緯がありますので同社もそうした可能性を秘めていると考えられます。公開価格は12月9日に決定され、12月19日に上場を予定。公募350.5万株、売り出し株660.7万株、オーバーアロットメント151.6万株、合わせて1162.8万株が放出されます。この結果、上場時の発行済み株式数は4229.7万株となり潜在株459万株も含めれば公開価格次第ではありますが、上場後の上値はやや重くなることも予想されます。これは上場前から同社が注目され、インテルやコマツ、JVCビクターといったスポンサー企業に恵まれていたためと推察されます。株主にはFVCやジャフコといったVCのファンド名も数多く出ており、期待先行でIPOした後の株価にはファンドの売却による値下がりリスクも考えられます。一方において提携戦略の効果や時流性から業績の急向上の可能性もあり、新旧投資家間で強弱感が対立する場面も想定されます。
筆者は創業時において同社に取材を行ったこともあり、その当時のベンチャー的要素の強い同社を知るだけに時代の変化を感じてしまいます。玩具品としてのロボットを手掛ける企業が近未来の自動運転車の開発をサポートするR&D型最先端企業に脱皮するところまで来たとの印象です。上場後の時価総額がどのあたりまで高まるかは投資家の評価次第。国家的見地でも少子高齢化の中で、同社の事業活動は関心を呼ぶと期待されます。ZMPの社名はゼロモーメントポイント(zero moment point)の略で2足歩行ロボットが歩くのに最も重要なポイントのことを指しているそうです。上場まであと1月足らず。様々なメディアから流れてくる同社に関する情報にしっかりと耳を傾けて頂きたいと思います。
2016年11月28日 東京IPOコラムニスト 松尾範久