東京IPO

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Vol.84「祝!!藤井4段の29連勝、新記録樹立」

一躍、時の人となった感がある将棋の藤井聡太4段(14歳)が29連勝という偉業を成し遂げ、メディアで盛んに取り上げられるようになってきました。若さ、冷静さ、勢い、研究熱心などの様々なイメージが伝えられるとともに国民的関心も高まっています。藤井4段の師匠がテレビで登場したり、対戦相手のことが伝えられたり、と将棋のことはあまり知らないという一般の方々も関心を寄せ、大人も子供も大盛り上がり。対局中の食事にまで関心が集まるなどメディアも大忙し。藤井4段はまだ中学生ながらやや大人びた印象のある発言の重みもあってか筆者に限らず大多数の日本人にとってはとても応援したくなる立ち位置の少年です。藤井4段に対してまずは心よりお祝いの言葉を述べたいところです。29連勝、新記録樹立おめでとう。
「頑張れ!!藤井4段 連勝記録をまだまだ伸ばしてくれ!!」
国民の多くはそう願っているに違いありませんが、冷静に考えると連勝記録はいつの日か止まる運命にあるのかも知れません。ですから連勝をストップさせる対戦相手の登場にも注目する声があります。次は30連勝への挑戦となりますが、若さゆえなのか、本人は至ってクール。何だか粛々と勝ち続け、いつの間にか驚くような記録を樹立するのではないかと期待は高まります。
 今日のコラムは将棋の話で終わるのかとおしかりを受けそうですが、本題はこれから。
記録の壁は将棋の世界に限らず株式市場にも存在します。銘柄の連騰記録、連続ストップ高記録、時価総額、過去最高のPER、PBRなどこれらは余り語られることはありませんが、それぞれにデータを調べてみると面白いかも知れません。東証1部市場の時価総額のピークは1989年12月末の591兆円とされますが、2015年5月に一度この記録は塗り替えられていましたが、ここに来て再びこの記録は塗り替えられ今や605兆円にもなっています。この間、上場銘柄も入れ替えが激しいので、それがどうしたという世界ではありますが、記憶の中に留めておきたい記録の一つです。
 また、IPOに関しても印象的な記録は山のようにあります。勝つか負けるかの単純な記録ではありませんが投資家の皆さんにとっては公開価格に対する初値の上昇記録。上場してからの連騰記録、値上がり率などは関心の的かも知れません。一方では下落記録や連続安記録、値下がり率など嫌な記録も存在しています。また、上場時の時価総額記録、出来高などおよそ株価や取引に関わるデータは記録となって残っています。
個別銘柄でも記録ずくめ。最年少経営者の下で設立から最も短い時間でIPOに至ったリブセンス(6054)の記録に心が躍った投資家は多いのかも知れません。また、CYBERDINE(7779)、ユーグレナ(2931)のような未来志向型企業群が投資家の支持を受けてIPOし、様々な記録を生んだことは記憶に新しい。IPO市場から生み出される様々な記録も破られるために存在しています。こうしたことにも関心を寄せて頂くとまた別の視点でのIPO銘柄投資の楽しみも生まれるのかも知れません。
相変わらずIPO銘柄にはホットマネーが流入し、成長力が未知数の若い企業への関心が高まっています。本日はインターネット広告配信プラットフォーム構築のFringe81(6550)が上場初日を迎えて人気を集めているようです。果たしてどんな記録を作ってくれるか楽しみです。

2017年6月27日 東京IPOコラムニスト 松尾範久