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そんなサブプライムローン問題ですが…。既に欧米金融機関の損失は大手20社の合計だけで680億ドル(7.5兆円)に達している模様です。全世界では最大で3000億ドル(33兆円)に達するとの見通しもありますが…いずれにしても欧米金融機関の損失計上のスピードは「想定されていた以上に速い」ということがわかってきました。

結果、どうやら大手商業銀行の損失計上は10−12月期決算発表でほぼ出尽くしとなる見込みで、仮に全世界で3000億ドル(約33兆円)規模に達したとしても、そのインパクトは20年前の米国で起こったS&L危機と同程度のものに留まりそうです。

S&L危機当時の損失額は1500億ドル(16.5兆円)でしたが、欧米諸国のGDPは当時の2倍以上に拡大しています。まして、今回は損失の負担を全世界的に担うこととなるのです。ちなみに、バブル崩壊後に発生した日本の不良債権問題では100兆円を超える損失が発生しました。また、国内から失われた資産価値は1000兆円を超えました。

現状は、世界で「過度の悲観が蔓延している」状態ですが…。年明け以降、徐々に見直される部分も出てくるものと思われます。

確かに、米経済の成長スピードがやや鈍化することは否めません。しばらくは、潜在成長率未満の「低空飛行」が続くことでしょう。だからといって、リセッションに陥る可能性は徐々に薄らいで行くはずです。

米FRBは9月と10月の2度にわたって0.75%の政策金利引下げを実施ししましたが…もう一段の利下げ余地、つまり景気刺激策を講じる余地は残されている模様です。現在、政策金利は4.5%ですが、米国の長期金利は昨今、一時的にも4.0%を割り込む水準にまで低下しています。よって、少なくとも追加で0.5%以上の利下げが実施される可能性は十分あるということです。

気になる日本の株価、景気の先行きですが…こちらも現状は「過度の悲観が蔓延している」状態といっていいでしょう。
このところ、市場関係者や市場参加者の多くが、モメンタムやセンチメントで調整を説明する傾向が強まりすぎているようです。つまり、ファンダメンタルズが少々置き去りにされてしまっている模様。

いわゆる「米国がくしゃみをすると日本は肺炎になる!?」の論理なのでしょうが…。実際には、昨今、よく耳にする日米経済のデカップリング(非連動)は確実に進んでいます。もちろん、一部に「デカップリングにさようなら!」という意見があることも事実です。しかし、現実に最近の貿易統計の変化をつぶさに捉えれば、デカップリング論というのは、単に「日本にとって都合のいい解釈」であるとか、「希望的観測」と一笑に付してしまうようなものではなさそうです。

ここで、また再びアノマリー的なことを申しますが、先に述べた「7」が付く年のアノマリーには続きがありまして…。それは、末尾に「8」が付く年の株価は高いというものです。まして、2008年は「子(ねずみ)」の年ですから…ねずみの子孫になぞらえて「繁栄」の年とされており、実際に過去のデータでも「子」の年は他の干支よりも株価上昇率が高い年まわりと言われています。

こうしたことから考えると2008年は日本株高!? その資産効果も相俟って景気拡大も続きそう…。

そうなった場合、「低空飛行の米国」と「景気拡大の日本」という構図が明らかになるなかで、08年は基本的に円高・ドル安トレンドということになるでしょうか。もちろん、ドル/円という通貨ペアが弱含みで推移すると、やはり…クロス円も全般に上値を追いにくい展開になるのではないかと思われます。

ただし、円高リスク=円の上値もあくまで限定的なものに留まる可能性が高いということにも言及しておく必要があるでしょうね 。

日銀の金融政策は、これまで「金利の正常化」に重きを置く「グラジュアリズム(段階的)」戦略を基本としていました。しかし、これにはあまり説得力がなく、多くの人々が理解不能と考えています。一方で、米FRBの金融政策は「ビハインド・ザ・カーブ」という戦略を基本としており、これはインフレ率が十分に上昇するまで金利引き上げを待つというものです。

今後、日銀が「ビハインド・ザ・カーブ」的な戦略に切り替えて行くとすれば、当面の間、利上げは見送られるでしょう。


まして、これから2010年初頭ぐらいまで「5年安値サイクル」が続くとしても、その次に円安トレンドに転換したときには「相当に大きな値幅で円安となる」可能性が以前から懸念されています。そんな、将来の(超円安)リスクが潜在的に認められるなかで、それほど高い水準まで円を買い上げることができるとは筆者には思えないのです。



第3回「なぜ、外為取引にはテクニカル分析が有効なのか?
第2回「ドル/円相場は、今後しばらく円高基調が続く!?
第1回「急激な円高局面で、あらためてFXの魅力を再確認


1964年東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。 週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。 テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。


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