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一方、ＷＴＩ原油価格が３月１３日につけた高値＝１１１．６０ドルというのは、実は非常に重要なチャートポイントであったことがわかっています。
振り返りますと、ＷＴＩ原油価格は０１年１１月に１６．７０ドルの安値をつけて以降、底入れ＆反発して一気に０６年７月高値＝７８．４０ドルをつけに行きました。その後は一時的にも調整し、０７年１月には４９．９０ドルまで下押し。切り返して、今回の１１１ドル台乗せとなったのです。<br>
以下に表示したチャートを見てもわかるように３月１３日につけた高値は、いわゆる「Ｎ計算値」に基づく当面の上値メドとピッタリ同じ水準でした。その意味では、このあたりでとりあえず天井打ちしてもおかしくない状況と考えることもできます。

　【記】　 ①０１年１１月安値＝１６．７０ドル
　　　　　 ②０６年０７月高値＝７８．４０ドル
　　　　　 ③０７年０１月安値＝４９．９０ドル
　　　　　Ｎ計算値：（②－①）＋③＝（７８．４０ドル－１６．７０ドル）＋４９．９０＝１１１．６０ドル

まさに「ドル暴落」と言える状況下で、警戒感を強めている主要各国の通貨当局は、ここにきて「１３年ぶりの協調（為替）介入について、それを支持する議論に熱を上げている」との報もあります。
４月１１日にワシントンで開催されるＧ７では「ドル安への警戒」が主要議題の一つになるといった見方もありますが、むしろ「それまで何もせずに持ち堪えられるかどうかは疑問」との見方もあり、どうやら「来るべき時」「その日」が迫ってきているような…。

３月１４日、ニューヨーク連銀がＪＰモルガン・チェースを通じて米証券大手ベアー・スターンズの救済に乗り出すことを発表しました。結局は、それがかえって金融不安を煽ることとなり、一段とドルが売られ、ＮＹダウが下げることとなりましたが…。ここで注目すべきは、ＮＹ連銀による救済計画案をＦＲＢが全会一致で賛同したということです。
「嗚呼、もはやそこまできたか…」という感じですね。

今後考えられることは…まず、ＦＲＢによるＭＢＳや関連資産等の買い取り。これによって、市場で投げ売りをしなくても金融機関のＢＳから劣化資産を除去することが可能になります。
そして、次なる手立ては米政府による「住宅ローン買い取り機構」の創設。既に、議会では大恐慌時の住宅所有者ローン公社（ＨＯＬＣ）をモデルとした具体的検討がなされているようです。
最終手段は、もちろん公的資金による金融機関への資本注入です。１９８４年のコンチネンタルイリノイ銀行救済のケースでは連邦預金公社による預金全額保護、ＦＲＢによる流動性の供給などを通じて、事実上、同銀行は国有化されました。
そうです、日本で２００３年５月、リそな銀行への公的資金投入計画が発表されたときと同じように…です。

「その日」は、いま着実に近づいてきているように思われます。

第8回「「ユーロ／ドルの急上昇にあたり・・・」

第7回「「金」の価格と外国為替相場の相関を考える」

第6回「ファンダメンタルズ＆テクニカルで相場を展望」

第5回「いずれ顕在化する！？円売り（＝日本売り）リスク」

第4回「往く年を振り返り、来る年を占う・・・」

第3回「なぜ、外為取引にはテクニカル分析が有効なのか？」

第2回「ドル／円相場は、今後しばらく円高基調が続く！？」

第1回「急激な円高局面で、あらためてFXの魅力を再確認」


１９６４年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱ＵＦＪ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ１５０回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のＷＥＢサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ（テレビ朝日「やじうまプラス」、ＢＳ朝日「サンデーオンライン」）やラジオ（毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」）などのレギュラー出演を経て、現在は日経ＣＮＢＣ「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。