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なお、いわゆるリーマンショックや金融安定化法案の米下院での否決などという衝撃的な出来事があったわりに、9月下旬まで意外なほどドルが底堅い動きを見せていた要因の一つには、リスク許容度を低下させた米投資家が海外から資金を引き上げてドル確保に動いたからといった見方もあります。
つまり、逆説的に言えば「世界の金融混乱が続いている間はドルが強い」ということにもなるのです。
ということは…「ある程度、金融の混乱が鎮まったらドルは売られる」ということ?
 
ここで、今後取り沙汰されることが濃厚なドル売り材料を以下に挙げておきます。
 
確かに、金融の混乱を鎮めるために米国が多大な財政負担を強いられることとなるのは間違いありません。
米政府は、とりあえず年内に25兆円の公的資金を金融機関に注入することとしていますが、もちろん、これだけでは十分とは言えないでしょう。
今後、サブプライムローンやAlt−A(サブプライムとプライムの中間)の焦げ付きに加えて、プライム住宅ローンの焦げ付きも増加することが懸念されます。さらに、ホームエクイティローンの焦げ付きも顕著になるでしょうし、モノラインの保証分を金融機関が損失計上する必要にも迫られます。結果、金融機関の自己資本はますます傷むことでしょうし、そのぶん必要となる資本注入額も膨らむことが予想されます。
 
金融機関への資本注入に加えて、不良債権の買い取り、そして住宅金融公社への出資を合計すると「最終的には150兆円程度の財政負担になる」との見方もあります。そのうえ、09年末まで決済性預金の預金保護限度額を撤廃することに伴う財政負担や住宅金融公社の一段の経営悪化に伴う財政負担などが増える可能性もあります。
 
本来、金融機関への資本注入は最も経済合理性の高い対応策です。金融機関の自己資本比率=8%を前提とすると、仮に100の自己資本が増加することで1250の貸出枠が生まれるからです。
しかし、米国の一般世論はなおも大手金融資本を税金で救済することには嫌悪感を持っており、今後も公的資金の増額には紆余曲折が予想されます。すると、止む無く米政府は財政出動で景気を支えざるを得なくなる…。もともと、一連の金融混乱や住宅価格下落などの影響で、米国の景気実態がこれから一段の落ち込みをみせることは確実です。
結果、金融機関への資本注入と財政出動の二本立てが必要となり、そのぶん財政負担は増すこととなります。
 
財政負担と言っても、当面は海外からの借金に依存せざるを得ず、ますます財政赤字が膨らむことでドル不安は増幅してしまいます。同時に、米国債のリスクプレミアムも拡大することから「ヘタをするとドル暴落の危機を招くのでは…」との噂が市場に出回らないとも限りません。
 
一方、7月半ばまでは「ドル安こそが原油価格高騰の元凶」とされ、米政府・当局は「ドル高政策」を声高に叫ぶより仕方がありませんでした。それが、いまでは原油価格も相当に軟化し、同時にインフレ圧力が一気に低下したことで利下げ余地も生まれています。市場関係者の間では「必要であれば米国はゼロ金利政策を実行する」とまで囁かれており、これもドル安の一つの要因となる可能性があります。
 
前述したように、場合によっては年内から年明けにかけて一度、ドル/円が高値を取りに行く可能性もあります。また、結局は08年3月安値からのリバウンドが08年8月高値=110.66円で終了し、今後は3月安値を下抜けて一段とドル安・円高が進むという見解に結びつく可能性もあります。
いずれもしても、09年年初から09年いっぱいはドル安・円高が進むという見方に変わりはなく、それを裏付けるファンダメンタルズ的な要因も数あるということは念頭においておきたいものです。

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1964年東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。 週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。 テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。

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